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福島市奨学金収入認定事件の判決確定を受けての会長声明

福島市奨学金収入認定事件の判決確定を受けての会長声明

本年1月16日,福島地方裁判所において,生活保護世帯の高校生が受領した給付制奨学金を福島市福祉事務所が世帯の収入として認定し生活保護費を減額した事件(「福島市奨学金収入認定事件」。以下,「本件」という。)について,福島市の処分を国家賠償法上違法であるとして,原告親子2名に対して各5万円の慰謝料の支払いを認容する判決(以下,「本判決」という。)が言い渡された。被告である福島市は控訴せず,本判決は確定したとのことである。
本判決は,被告は,給付型奨学金について収入認定除外となるか否かの検討を行わず,原告から提出された自立更生計画書等の検討もしないまま本件各処分を行ったものであり,国家賠償法にいう違法があると認定した。その上で,本件各処分により,切り詰めた生活を余儀なくされ,子の就学を経済的に支えることができなくなるかもしれないという母親の深刻な不安や,努力して奨学金を獲得したにもかかわらず,これを事実上没収されたことにより,自らの努力を否定されるような経験をした子どもの精神的苦痛を認定し,損害の発生を認めた。
貧困の連鎖を断ち切り,子どもがその生まれ育った環境によって将来が左右されるような事態をなくすことを目指して,いわゆる「子どもの貧困対策法」が成立している。このような社会状況の下で,子どもが自ら努力して得た奨学金を事実上取り上げるかのような行政処分を明確に違法と断じた本判決が確定したことは,生活保護実施機関の姿勢や保護実施のあり方についての重大な警鐘というべきである。
報道によれば,本判決を受けて,福島市長は,「本件の訴えは,この点(生活保護制度の目的である最低生活保障と自立助長)への配慮に欠けていたことが原因であると考えております。生活保護法,実施要領等を遵守した支援につながるよう,研修を充実させるなど努めて参ります」などとするコメントを公表したとのことである。このコメント自体は積極的に評価できるが,大事なことは,なぜ本件のような違法な処分がなされ,何の罪もない原告親子に対して多大な苦しみを与えることになったのかを徹底的に検証し,その検証結果を公表するとともに,違法な処分が二度となされないような改善措置を着実に実行することである。
本会は,本件のような違法な処分の再発防止と生活保護の目的に照らした支援の実現のため,次のとおり求める。
1 福島市に対し,
(1) 本件処分についての第三者委員を含む原因調査委員会を設置し,違法な処分の原因について徹底的に究明するとともに,その結果を市民に公開すること。
(2) 上記原因調査の結果を踏まえ,生活保護実施機関職員への研修の充実や実施機関の体制充実(特に支援にあたるケースワーカーの増員)などを含む再発防止策を実行すること。
2 厚生労働省に対し,
子どもの貧困対策の観点から,そもそも高校生に支給される奨学金は,その目的や性質からして,収入認定となじまないものであると考えられるから,その全額を包括的に収入認定の対象から除外することを明確にした生活保護実施要領の改正を行うこと。

2018(平成30)年2月23日
福島県弁護士会      
 会長  渡 邊 真 也 

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