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「ゲートキーパー」立法に対する反対声明

政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、平成16年12月、「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、その中で、FATF(国際的なテロ資金対策に係る取組みである「金融活動作業部会」)勧告実施を決め、弁護士に対しても、依頼者の疑わしい取引に関する報告義務を課し、これを立法化する準備をしている。いわゆるゲートキーパー立法である。

他方、政府は、平成17年11月17日、FATF勧告実施のための法律整備に関して、金融情報機関を金融庁から警察庁へ移管する決定をした。

いわゆるゲートキーパー立法は、弁護士に対しても、依頼者の疑わしい取引に関する報告義務を課そうとするものであり、弁護士の守秘義務を侵害するのみならず、弁護士の自治をも崩壊させるものであり到底認めがたいものである。即ち弁護士が依頼者の秘密を捜査当局に「報告」しなければならないとすると、弁護士と依頼者の信頼関係は破壊され、依頼者は弁護士に対し、安心してすべての事実を打ち明けることができなくなり、結果として、弁護士は依頼者に対し最も適切なアドバイスができなくなってしまうことにもなる。

さらに、金融情報機関が警察庁とされ、警察庁に対し報告を義務付ける制度は、弁護士そして弁護士会の存立基盤である国家権力からの独立性を一層危うくするものである。

弁護士は、例え相手が国家権力であっても、その対抗の中で市民の人権を擁護することを職責としており、弁護士の秘密保持の原則は、このような国家とも対抗関係に立つことがある弁護士の職業の本質に根ざすものである。時の政府又は政治権力から独立していることが(弁護士自治)、人権の擁護と社会正義の実現の基盤でもある。そして、この基盤を支える守秘義務は国民の弁護士制度・司法制度の根幹をなしているというべきであり、ゲートキーパー立法は、この根幹を文字どおり根底から覆すものである

かくて、政府が法律の整備を検討しているゲートキーパー立法は、これまでの永い歴史の中で構築された弁護士自治制度の根幹を崩壊させ、弁護士と依頼者との信頼関係を根底から脅かし、さらには、国民が国家からの監視を受けるという重大な人権侵害の結果を招くおそれもあり、到底容認できない。

よって、当会はゲートキーパー立法に強く反対するものである。

2006年(平成18年)2月7日
福島県弁護士会
会長 宮本多可夫

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