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司法修習生に対する修習手当の創設を求める会長声明

司法修習生に対する修習手当の創設を求める会長声明

 平成23年11月より,それまで司法修習生に対してなされていた給与支給が廃止され,いわゆる貸与制に移行した。以降現在まで,日本弁護士連合会を始め多数の単位会より給費制復活を求めて各種意見表明がなされているが,一向に貸与制が廃止される見込みが立っていない。
去る平成27年6月30日に法曹養成制度改革推進会議により決定された「法曹養成制度改革の更なる推進について」においては,無利子奨学金の貸与制度・授業料減免制度を推進し,「司法修習の実態,司法修習修了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況,司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ,司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討する」とする内容が盛り込まれているが,主に財政的な理由から,あくまで貸与制を維持した上で例外的に給付的支援を行うとしている点で甚だ不十分と言わざるを得ない。
日本国憲法が適正手続や身柄拘束(第31条ないし第38条),また独立の章(第6章)を設けて司法権の項を設けたことからも,その担い手である法曹の養成が国の責務であることは明らかであり,また法曹の存在は法の支配をあまねく行き届かせるための当然のインフラなのである。
しかるに,第67期司法修習生に対する修習実態アンケートでは21%の修習生が修習辞退を考えたことがあり,その約63%が,辞退を考えた理由として貸与制移行による経済的不安を挙げている。また法科大学院適正試験受験者・法科大学院入学者共に減少の一途を辿り,法科大学院も軒並み定員割れという事態に陥っている。重い経済的負担が法曹への心理的障害になっていることは想像に難くない。
日本弁護士連合会は,貸与制が幅広い層からの人的資源獲得を損なうことのないよう,各種手当(基礎手当・住居・通勤・扶養・移転)及び実費の給付を内容とする給付型経済支援を提案している。この修習手当創設の提案に対しては,本日1月20日現在で,衆参両議院の合計議員数717名の過半数である362名より賛同のメッセージが寄せられている。これらメッセージは与野党を問わない各政党からのものであり,司法修習生に対する経済的支援への関心の高さを示すものである。
上記のとおり,法曹養成制度改革推進会議の決定は具体的内容に踏み込まない甚だ不十分なものであり,到底多面的で有為な人材を集めることができるとは考えられない。法曹志願者が減少を続ける今だからこそ,経済的不安に駆られることなく修習に専念するという本来の給費制の趣旨に立ち返るべく,日本弁護士連合会の提案する給付型修習手当を実践すべきである。
当会は,司法修習生の給付型支援が国会議員の過半数の賛同を得られていることを踏まえ,政府における修習生に対する経済的支援の在り方につき,給付を内容とする裁判所法の改正を求め,国会に対しこの会長声明を発信するものである。

 2016年(平成28年)1月20日
福島県弁護士会 会長 大 峰  仁

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