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取調べの全過程録画録音を求める会長声明 ―足利事件を繰り返さないために―

2009(平成21)年6月4日、栃木県足利市内で発生した幼女誘拐・殺人・死体遺棄事件(いわゆる足利事件)の犯人とされた菅家利和さんが、その刑の執行を停止され、約17年半ぶりに釈放された。そして、東京高等裁判所は、同月23日、同事件の再審開始を決定した。未だ無罪判決は出ていないものの、DNA再鑑定で不一致という結果が出ている以上、本件は冤罪であったことが証明されたというべきである。

無実の菅家さんの自由を奪い、絶望と屈辱に追いやった原因は、捜査機関の密室での取り調べにより虚偽の自白が作られ、この虚偽の自白を裁判所が軽信したことにある。

この足利事件は平成の時代に起きた事件である。足利事件だけでなく、近年でも氷見事件、志布志事件など捜査機関の密室での取調べにより虚偽の自白が作られたことによる冤罪事件は後を絶たない。これらの冤罪事件によれば、たとえ無罪の者であっても密室での取調べにより、簡単に虚偽の自白が作られてしまうことが明らかである。

現在の日本において、密室で作成された被疑者被告人の供述調書について、その作成過程を事後的客観的に検証する手段は存在しない。それにもかかわらず、刑事裁判において供述調書(自白)は偏重され、冤罪事件は後を絶たない。

このような虚偽の自白による冤罪事件を繰り返さないための解決策は、取調べの全過程を録画、録音することである。

取調べの全過程録画録音は、アメリカの多くの州、イギリス、フランス、イタリア等の欧米諸国や、オーストラリア、韓国、香港、台湾といったアジアの諸国、地域でも導入されている。また、2008(平成20)年10月、国際連合国際人権(自由権)規約委員会は、日本政府が提出した報告書を審査した結果としての総括所見の中で、日本政府に対し取調べの全課程における録画機器の組織的な利用を勧告しており、取調べの全過程録画録音はもはや世界的潮流というべきである。

我が国で近年ようやく実施されるに至った取調べの一部録画は、裁判員裁判対象事件に限られている上、取調官にとって都合の良い場面のみが録画されるだけで、密室での取調べの真実の姿が明らかにならず、かえって取調べの過程の評価を誤らせるものである。

そこで、密室での取調べによる虚偽自白の強要と、これによる冤罪事件の発生を絶対に繰り返さないため、当会は、国に対し取調べの全過程の録画録音を義務付けることの立法化を求めるとともに、現状においても、捜査機関に対しその実行を迫るなど、取調べの全過程の録画録音の速やかな実現を図るために全力を挙げて取り組む所存である。

2009年(平成21年)10月27日
福島県弁護士会
会長 平松 敏郎

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