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原子力損害賠償紛争解決センターに対し片面的裁定機能を付与する立法措置を求める会長声明

当会会員に対する照会結果によれば,福島県の避難等指示区域内に生活の本拠を有していた東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)社員さらにはその家族に関して,東京電力は一方的に避難終了時期を決定し,中間指針が示す賠償額の支払いさえも行っていないばかりか,既に支払った賠償金の返還要求をしているという実態があり,東京電力の現地社員らがこれらの会社の対応に納得ができず,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)に和解仲介を申し立て,同センターから他の避難者と平等に賠償すべきとの和解案が示されても,東京電力は頑なにそれを拒否していることが明らかとなった。

ところで,本年1月16日,政府は,昨年12月27日付けで原子力損害賠償支援機構及び東京電力が申請していた新・総合特別事業計画を認定した。同事業計画において,東京電力は,これまでの総合特別事業計画において謳われていた「5つのお約束」をさらに一歩進めたものとして,損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策について「3つの誓い」と称し,「ⅰ)最後の一人まで賠償貫徹」,「ⅱ)迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」,「ⅲ)和解仲介案の尊重」の3点を掲げ,原紛センターから提示された和解仲介案を尊重するとし,同事業計画でもその旨,述べているところである。

しかしながら,冒頭に挙げた東京電力の対応は,上記に真っ向から反するものであることが明らかであって,賠償問題を「円滑・迅速・公正」に解決するために設置された原紛センターの理念を蔑ろにするものである。さらには,事故から間もなく3年を経過しようとしているにもかかわらず,いまだ経済的にも精神的にも不安定な立場に置かれ,将来の先行きも見えない生活の中で,原紛センターの手続を通じて,相応の賠償を求めようという被害者の心情をも踏みにじるものといわざるを得ず,到底,看過できない。

当会は,2013年(平成25年)9月7日付け「福島第一原子力発電所事故被害の完全救済及び脱原発を求める声明」で,国に対し,本件事故による損害について,その実態を見据えた十分な賠償を,被害者に負担をかけない簡便な方法で速やかに実施すると共に,原紛センターの提示した和解案を拒否することのないよう,東京電力に対し強く指導することを求め,また,日本弁護士連合会は,2012年(平成24年)8月23日付け「原子力損害賠償紛争解決センターの立法化を求める意見書」において,原紛センターの和解案の提示に加害者側への裁定機能(以下「片面的裁定機能」という。)を法定し,東京電力側が一定期間内に裁判を提起しない限り,裁定どおりの和解内容が成立したものと見なすこととすべきであり,東京電力側は裁定案の内容が著しく不合理なものでない限り,これを受諾しなければならないものとすることなどを趣旨とする立法提言を行っているところである。

よって,当会は,東京電力に対して,あらためて,このような対応を直ちに改善し,原紛センターの和解案を尊重,遵守することを求めるとともに,政府に対して,東京電力に対し,強くその旨を指導すること及び上記の趣旨に沿った形で原紛センターの和解案に片面的裁定機能を付する立法を直ちに行うことを求める。

以上

2014年(平成26年)1月31日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

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