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再提出された労働者派遣法改正法案に反対する声明

             再提出された労働者派遣法改正法案に反対する声明

2014年(平成26年)年9月29日,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案が臨時国会に提出された。
上記法律案は,労働者派遣法の根本原則である常用代替防止(企業の一般的・恒常的業務を常用労働者から派遣労働者に置き換えてはならないという原則)を見直し,派遣元で無期雇用されている派遣労働者については,常用代替防止の対象から外すこと,及び,派遣元で有期雇用されている派遣労働者については,①個人レベルで派遣期間を制限することとして,政令指定26業務を含めて,派遣労働者個人単位で上限期間(3年)を設定すること,②派遣期間の上限に達した派遣労働者の雇用安定措置として,派遣元が,派遣先への直接雇用の申入れ,新たな派遣就業先の提供,派遣元での無期雇用化等のいずれかの措置を講じなければならないこと,③派遣先において,有期雇用派遣労働者の交代によって派遣の継続的受け入れが上限を超す場合には,過半数組合か過半数代表者の意見聴取を義務付けることとしている。
しかしながら,このような内容で労働者派遣法が改正されることになれば,無期か有期かにかかわらず,全ての労働者派遣において常用代替防止の原則は事実上放棄され,企業が全ての業務について派遣労働者を永続的に利用できることになり,さらなる不安定雇用の増加と労働条件の劣悪化をもたらすことになる。
すなわち,まず無期雇用の派遣労働者については,派遣元で無期雇用されているからといって,必ずしも雇用が安定しているわけでもなく,また労働条件が優良であるわけでもない。常用労働者との均等待遇の確保策の導入もないままに,無期雇用派遣労働者について派遣可能期間を撤廃すれば,直接雇用労働者が派遣労働者に置き換えられ,常用代替を促進することになりかねない。
次に,有期雇用の派遣労働者についても,上記①の点は,結局のところ,派遣先・派遣元事業者が3年経過するごとに派遣労働者を入れ替えることにより,およそすべての業務について永続的に派遣労働者に担わせることが可能となる。
また,上記②の雇用安定措置については,派遣先への直接雇用申入れも,派遣元での無期雇用化も,私法的効力(派遣先・派遣元と当該派遣労働者との関係における契約内容を直接に変更する効力)があるかは明らかでなく,実効性に疑問がある。
上記③の派遣先での意見聴取も,労働組合等が反対しても使用者は再度説明さえすれば導入できる制度となっており,歯止めになり得ない上,36協定締結や就業規則改定における労働者過半数代表の意見聴取制度が多くの事業場で形骸化してしまっている我が国の現実からすれば,派遣労働者の受入上限をいくらでも延長されるおそれが強く,常用代替に対する実効的な歯止めとはならない。
そもそも,直接雇用の原則は,使用者責任の明確化や,中間搾取の防止など労働者の権利,利益擁護にとって重要な位置を占めるものである。1985年(昭和60年)に制定された労働者派遣法も,本来,高い専門能力を有する労働者が,日本型雇用慣行に縛られず専門的な労働を提供することを想定し,高度に専門的な業務や臨時的な業務に限り労働者派遣を認めたものであって,一般的恒常的業務についての労働者派遣を認めたものではなかった。
その後,数度の改正により,労働者派遣の条件が緩和されてきた経緯はあるが,今回の改正案については,これまで述べたとおり,常用代替の防止の理念を事実上放棄するもので,非常に問題があるといわざるを得ない。
なお,今回の改正案と同様の内容の法案が2014年(平成26年)3月11日にも国会に提出されたが,廃案になっている。同法案に対して当会は,2014年(平成26年)3月24日付で「労働者派遣法改正法案に反対する声明」を発表するなどし,その成立に反対したが,同法案は,上記のように内容に問題があるために,国民の厳しい批判の前に廃案になったと評価しうる。それにもかかわらず,今回,同様の内容の改正案を再提出した政府の行為は,民意にそぐわないものといえ,非難されるべきである。
よって,当会は,再提出された上記労働者派遣法改正法案に反対するとともに,常用代替防止の原則に立ち返り,これを実効的なものとすること及び派遣労働者の雇用安定と均等待遇を実現するための労働者派遣法改正を行うよう求める。

2014年(平成26年)11月11日
福島県弁護士会
 会 長 笠 間 善 裕

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