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大飯原発再稼働の撤回を求める会長声明

1. 2012年(平成24年)6月16日,政府は,関西電力大飯原子力発電所(以下,「大飯原発」という。)3,4号機の再稼動を正式決定した。

政府は,大飯原発3,4号機のストレステストについて,原子力安全・保安院が一次評価を「妥当」と判断し,本年3月23日,原子力安全委員会も,「一次評価の審査結果は妥当」として,全国の原発ではじめて審査結果を了承したのを受け,

(1)全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策ができていること

(2)東日本大震災並みに想定値を超えた地震・津波に襲われても,核燃料が損傷しないことを政府が確認していること

(3)電力会社が,さらに安全を向上させる対策をいつまでに実施するか計画を作っていること

との暫定的な安全基準を決定し,大飯原発はこの基準を満たしているとして,今回の再稼動決定にいたる動きを進めてきた。

2. しかし,(2)の「東日本大震災並みに想定値を超えた地震・津波に襲われても,核燃料が損傷しないこと」については,ストレステストの一次評価をもって基準を満たしたとしているところ,一次評価は簡易なものであり,原子力安全委員会の斑目春樹委員長の言葉を借りれば,「再稼働とは関係ない。二次評価まで終わらなければ,安全性の判断はできない。一次評価は安全委が要求しているレベルに達していない。」程度のものに過ぎない。

そもそも,福島第一原発の事故は,原発の安全性を盲信した国や電力会社の,地震・津波に対する認識が極めて不十分だったことに原因があると指摘されるところ,そのような従前の基準や評価を前提としたストレステストの一次評価は,到底,安全性を担保しているものとはいえない。

3. 大飯原発の立地そのものについても,敷地周辺の活断層の評価が過小であり,複数の活断層が連動する危険性などが十分に検証されていないことに加え,「兼見卿記」など複数の文献に記述のある天正大地震(1586年)による若狭湾一帯の津波被害について,関西電力などは周辺の地層に津波の痕跡はなかったとの調査結果を発表したものの,貞観津波の痕跡を発見した箕浦幸治教授は「津波がなかったという証明をするのは難しく,本来はもっと時間をかけた大規模な調査が望ましい」と指摘しているところであり,ストレステストは,大飯原発周辺における地震・津波に関する十分な調査と理解を欠くものにすぎない。

4. そして何より,福島第一原発の事故原因はいまだ究明されておらず,そこから反省と教訓を導くことを待たずして,安全性の評価を進めるのは拙速に過ぎる。

たとえば,政府は(1)の「全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策」については福島原発事故直後の2011年(平成23年)3月30日に経済産業省より通達された「平成23年福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施について(指示)」にもとづく緊急安全対策をもって基準を満たしているとしているが,この指示は要するに,通常以外の代替電源の確保を求めるものに過ぎず,その後の事故調査で浮き彫りにされてきた,配電盤や海水ポンプの溢水による故障,代替電源の管理といった課題については十分考慮されていない。

また,福島第一原発事故の主原因については,政府も東京電力も,現在,津波による全電源喪失にあるとの立場であるが,地震そのものが原子炉に及ぼした影響はいまだ解明されていない。地震動による配管の破断等があれば,これは津波の可能性とは関係なく,すべての原発に共通する耐震安全性の基準や,(3)の「さらに安全を向上させる対策」として要求される設備の内容の見直しに直結する。

5. 福島第一原発の被害は極めて甚大であり,今もなお,多くの被害者が県内外に避難し,困難な生活を強いられている。その被害内容は一言では言い尽くせない深刻なものであり,しかも長期にわたる性質のものである。

政府は,原発を再稼働させるために,電力不足が生じるかのような説明をし,さらには,さも電力不足が国民生活に過度の不利益をもたらすかのような説明を行っているところ,その真偽についても,大いに疑問がある。一旦原発事故が生じた場合の甚大な被害は,仮に電力が不足したとして生じる不利益とは比べようもなく,取り返しのつかない事態を招くことは,今回の福島第一原発の事故により明らかである。

政府が,かかる原発事故の惨状を顧みることなく再稼働の決定をすることは,政府が,再び,国民を新たな原発事故の危険にさらそうとする態度の表明と断ぜざるを得ない。

当会は,政府に対し,国民の生活と安全を守るため,ただちに大飯原発3,4号機再稼動の決定を撤回するよう強く求める。

2012年(平成24年)06月28日
福島県弁護士会
会長 本田 哲夫

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