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速やかに、原子力発電所を廃止し、自然エネルギーへの転換を実現することを求める決議

1.2011年(平成23年)3月11日に発生した福島第一・第二原子力発電所事故は、福島県民を中心とする多くの国民に避難を余儀なくさせ(その数は11万3000人以上とされている)、被曝させ、生活や財産、営業、雇用、教育、地域コミュニティーなどを、広範に、継続的かつ長期的に根底から破壊し、あらゆる人権を侵害し続けている未曾有の事故である。

今回の事故により、原子力発電所は、いったん事故が発生すれば甚大かつ広範な被害を発生させ、現在の科学技術水準をもってしても全く制御できないことが明らかとなり、原子力発電は安全でもクリーンでもないことが実証された。

このような最大級の人権侵害を惹起する原子力発電所は、もはや容認することはできず、わが国は速やかに全ての原子力発電所を廃止し、原子力政策から撤退すべきである。

2.従前、石油・石炭などの化石エネルギー資源の枯渇問題とCO2排出に伴う気候変動対策の強化から、わが国も2010年(平成22年)6月「エネルギー基本計画」を策定していたが、その内容は原子力発電所の新増設や利用向上に依存したものであり、自然エネルギーの推進に関しては、一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を2020年(平成32年)までに10%まで向上させるという緩やかな目標にとどまっていた。

しかし、今回の事故により、原子力発電に依存したエネルギー政策が成り立ち得ないことが明らかとなった以上、わが国のエネルギー問題への取り組みにおいては、速やかに自然エネルギーへの転換を実現することこそがこれまで以上に喫緊の課題となっている。

即ち、今後社会に必要なエネルギーは、原子力に頼らず、当面は、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)及び自然エネルギー(太陽光、太陽熱、風力、水力、地熱、バイオマス等)を活用すると共に、自然エネルギーの飛躍的な利用拡大及びエネルギー利用効率向上(省エネ機器、低燃費自動車の導入等)を政策の中核とすべきであり、しかも、これらの政策は速やかに実施される必要がある。

3.速やかに自然エネルギー利用の普及、拡大を実現するために、まず、国は前記「エネルギー基本計画」を抜本的に見直し、各自然エネルギー毎に高い導入目標を設定すべきである。

また、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づき2012年(平成24年)7月1日から開始される再生可能エネルギーの固定価格買取制度について、普及、拡大を促すに足りる買取価格等の設定が重要である。発送配電分離をも視野に入れて、自然エネルギーによりつくられた電力の送配電網への優先的接続を保障する等、接続のルールを策定することも必要である。

更に、自然エネルギーを利用する設備を設置する場合に障害となる農地法、工場立地法、自然公園法、河川法などの規制の緩和、また、運営する場合に過大な負担となる電気事業法などの規制の緩和をすること、他方で、無秩序な開発による弊害等を防止するため、設置等の基準を設けることが必要である。

一般的に、自然エネルギーを導入、維持する際の割高なコストが、自然エネルギー利用促進の障害となっていることから、充実した助成制度を構築すること、あるいは既に構築されている助成制度を更に拡充することも必要である。

4.今回の原子力発電所事故により甚大な被害を被った福島県としては、復興にあたり、自然エネルギー利用を促進するために、高い導入目標を設定するエネルギー計画を速やかに作成すべきである。

また、広く薄く分布するという自然エネルギーの特徴から、自然エネルギーの利用は地産地消・多極分散型のものとならざるを得ない。かかる特徴から、自然エネルギーの利用は、地方自治体及び地域住民が主体となって進められなければ、持続的な、実効性のあるものとはならない。

従って、福島県は、自ら積極的に自然エネルギー利用の促進に取り組むと同時に、県内市町村及び地域住民が主体となって、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、小水力発電、地熱発電、地熱バイナリー発電、バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造、温度差熱利用、雪氷熱利用等の福島県が有する多様な自然エネルギーを組み合わせた 利用の推進に取り組むよう指導、支援する必要がある。

また、国は、福島県内における地域住民を主体とした取組について、固定価格買取制度における買取価格の上乗せあるいは所得税の控除等の優遇措置を設ける等、積極的に支援すべきである。

以上のような取組により、福島県は、地域でエネルギー自立を図り、地産地消・多極分散型のエネルギー構造モデルを確立すべきである。 そして、これからの時代を牽引する自然エネルギー関連産業の集積・研究開発を進めながら、地域における雇用等の確保、地域経済の振興を図ることで、経済的発展と地球環境の保持を両立させた、真に持続可能な社会を全国に先駆けて実現すべきである。

よって、当会は次のことを求める。

(1)国及び東京電力株式会社ほか原子力発電所を有する電力会社等は、福島第一原発及び福島第二原発のすべての原子炉を廃炉にするとともに、全国の原子力発電所については、新増設を停止し、既設のものは可能な限り速やかに廃止すること。

(2)国は、エネルギー基本計画を抜本的に見直したうえ、自然エネルギー利用促進のための高い導入目標の設定、再生可能エネルギーの固定価格買取制度における効果的な買取価格等の設定、接続ルールの策定、各種規制緩和及び助成制度の措置等を積極的に進めること。

(3)福島県は、福島県内において自然エネルギー利用促進のための高い導入目標を設定するエネルギー計画を速やかに作成したうえ、地産地消・多極分散型のエネルギー構造モデルを確立するため、自ら積極的に自然エネルギー利用の促進に取り組むと同時に、県内市町村及び地域住民が主体となって自然エネルギー利用の推進に取り組むよう指導、支援すること。また、国はこれらの取り組みを積極的に支援すること。

以上、決議する。

2012年(平成24年)02月18日
福島県弁護士会
会長 菅野 昭弘

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