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多重債務者・生活困窮者に対する支援・救済制度の整備を国・地方公共団体に求める決議

2006年(平成18年)の第165回臨時国会において、「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、同年12月20日に公布された。

本改正法は、金利体系の適正化、貸金業の適正化、過剰貸付けの抑制等、これまでの貸金業規制法を多重債務問題解決の観点から見直しを図り、抜本的に改正したものである。最大の争点であった金利規制については、「みなし弁済」制度(グレーゾーン金利)を廃止するとともに、出資法の上限金利を年29.2%から年20%まで引き下げることとし、日賦貸金業者及び電話担保金融の金利の特例を廃止した。

当会は、これまでも多重債務問題、高金利問題等について総会決議や会長声明を通じて意見を表明してきており、また当会所属の多くの弁護士が多重債務問題解決のために努力してきた。その意味で、今回の貸金業規制法の抜本的改正は高く評価できるものである。この改正法が施行され、利息制限法を超える金利での貸付が禁止されれば、深刻な多重債務問題はある程度改善されるものと期待できる。

今後は、200万人を超えるといわれる多重債務者や、格差の急速な拡大により増加する生活困窮者への助言と支援を実効的に進める必要がある。本改正法の附則では、国の責務として多重債務対策を行うことが明記され、さらに、国会においては、内閣官房に「多重債務者対策本部」を早期に設置することとする附帯決議がなされている。そしてこの附帯決議に基づき、「多重債務者対策本部」の設置が閣議決定された。

日本弁護士連合会は国に対し、「多重債務者対策本部」の活動として取り組むべき事項を要望しており、当会としても、少なくとも下記の諸項目については、国の外、地方公共団体に対し、多重債務者・生活困窮者の支援・救済制度の整備のために迅速な対応を求める。

①多重債務者を専門の債務整理相談窓口に確実に誘導する体制を確立すること。

②多重債務者の支援のため、都道府県においても所管を超えた横断的な連絡協議会を組織すること。

③同組織に民間の多重債務者や低所得者の支援団体を加えて総合的な政策の検討を行うこと。

④自治体提携の社会福祉貸付制度や社会福祉協議会による生活福祉資金貸付制度の拡充を図ること。

⑤中小企業向けの低利の貸付制度を充実させること。

⑥生活保護制度の適正な運用を行い、積極的な活用に努めること。

⑦ヤミ金融事犯の取締りを強化すること。

また、当会としても、多重債務者に対する初回無料相談の実施等、相談の受け皿となるべき「クレジット・サラ金」専門の相談体制の拡充強化をはかり、全力を上げて問題解決に取り組むことを決意する。
以上決議する。

2007年(平成19年)2月24日
福島県弁護士会

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