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東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から

東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から
満5年を迎えるにあたり  (会長談話)

  この5年間は、福島県と福島県民にとって、苦難の連続でした。そのようななかで、多くの方々が復興に向けてご尽力されたことに対し、まずは敬意を表します。
ただ、復興はなかなか進んでいないのが現実です。インフラ等の復旧が進まず、帰還の目処が立っているとはいえません。一部地域では国が帰還を進めようとしていますが、若い世代を中心として帰還が進まず、以前のようなコミュニティーを取り戻すことは困難な状況にあります。
賠償は行われていますが、十分とはいえず、生活の再建に至らない避難者が少なくありません。事業者についても、地域経済が復興していない状況のなかで、営業損害に対する事実上の賠償打ち切りが言われ、その多くが切り捨てられようとしています。
避難地域の線引きや賠償基準の設定の仕方といった形式的なことにより、避難者相互間や避難者とその他の住民間で、受けられる賠償や支援に小さくない格差が生じています。そして、それが、福島県民の間に軋轢や分断をもたらしました。
これらは、その一つ一つが深刻な問題です。福島県弁護士会は、これまでにも様々な決議や声明を発してきましたが、さらに2016年(平成28年)2月20日に開催した臨時総会において、「東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者に対する個別の実情に応じた賠償を継続し、健康不安を解消し、並びに避難の継続・帰還のいずれの選択も尊重する施策の実行を求める決議」を採決し、これら問題の解決に向けた施策の実施を提言しました。今後、これらの提言が容れられて、復興が進むことを願ってやみません。
真の復興を果たすため、取り組むべき課題はたくさんあります。福島県弁護士会は、引き続き避難者を含むすべての福島県民に寄り添い、これらの課題を解決すべく決議内容の実現に向けて活動していく所存です。

2016年(平成28年)3月11日
福島県弁護士会
会 長 大  峰   仁

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