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司法試験合格者の減員と司法修習生の給費制復活を求める決議

司法試験合格者の減員と司法修習生の給費制復活を求める決議

現在,法曹養成制度改革推進会議及び法曹養成制度改革顧問会議で法曹養成制度の改革が検討されており,その中では,今後の法曹人口や法曹養成制度のあり方について,政府の方針が検討されることになっている。
この検討に当たっては,次の点に留意される必要がある。
まず,司法試験合格者数の急激な増加は,司法修習修了者の就職難をもたらすとともに,実務経験の不足等による法曹の質の低下を招き,ひいては利用者である市民の権利を十分に擁護できなくなることが懸念される。また,十分な実務経験を積めないことによる弁護士業務に対する不安に加え,弁護士激増に伴う過当競争による経済的不安から,司法試験受験者の減少や相当数の司法修習修了者の弁護士登録見合わせという事態をも招き,優秀な人材が法曹の途から遠ざかるという弊害も顕在化している。このような弊害を解消するためには,司法試験合格者数を適正な数に抑制しなければならない。
次に,法曹養成制度の一環である司法修習とは,そもそも司法制度を支える重要な人材を育成する制度である。ここで,優秀な人材を確保するためには,経済的理由により法曹への途が閉ざされることがないような制度設計が不可欠である。これにより,市民の権利擁護を担う多様かつ優秀な人材を育成することは,国の責務である。また,法曹人口の大部分を占める弁護士は,若手も含め公益的活動に継続的に従事しているところ,それを可能としたのは最低限の経済的基盤の裏付けがあったからこそである。司法修習生に対する貸与制は,弁護士登録の時点で既に新規登録弁護士に債務を負わせることとなり,弁護士としての経済的基盤の確立に重大な障害となっている。ひいては,充実した公益的活動を阻害しかねない。これらの点から,貸与制を廃止し,給費制を復活することは急務である。
さらに,司法修習の実態を見ても,司法権の一翼を担うべき存在として,裁判所の指揮監督のもと時間的拘束を受けて修習を行っているのであるから,その時間的拘束に対する経済的対価は国により当然に支給されるべきものである。このような観点からも,給費制は当然に復活されるべきである。
2013年春に実施されたパブリックコメントには一か月の間に3119通もの意見が寄せられ,うち法曹養成課程における経済的支援に関する意見数は2421通にのぼり,その大多数が「司法修習生に対する給費制を復活させるべきである」との内容であったことも重視すべきである。
よって,福島県弁護士会は,現在検討が進められている法曹養成制度の改革について,政府に対して,以下の二点を要求する。
1 司法試験の年間合格者を早急に1500人とし,更なる減員も含め今後検討すること
2 裁判所法等の所要の法令を改正し,司法修習生に対する給費制を復 活させるとともに,改正法令を遡及的に適用すること以上,決議する。
2014年(平成26年)5月31日
福島県弁護士会

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