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実効性ある消費者庁の創設と地方消費者行政の拡充を求める会長声明

近年,ガス湯沸し器による一酸化炭素中毒事故・トラックのタイヤ脱落事故・シュレッダーによる手指切断事故など製品事故が多発し,昨年は牛肉・鶏肉・鰻等の食品表示偽装事件が相次ぎ食品表示に関する信頼も失墜した。さらに,リフォーム詐欺・次々販売・マルチ商法等年々巧妙化する悪質商法により取引分野においても多種多様な消費者被害が発生し,架空請求・振り込め詐欺・ヤミ金融等の被害も依然として消滅することなく続いている。これに対し,現在の縦割行政は,それぞれの管轄と法的手続が複雑に分岐・錯綜しているため,これらの被害発生の防止及び被害救済の面において,十分な役割を果たしていない。

政府は,いわゆる消費者庁関連3法案を閣議決定し,消費者行政を一元的に推進するための強力な権限を持った新組織(以下,「消費者庁」という。)を創設することとし,さらに地方消費者行政の必要性・重要性も取り上げている。これらについては,高く評価すべきものであり,必ず実現されなければならない。

そして,消費者問題を抜本的に解決するためには,耳当たりのいい理念を並べただけの消費者庁の創設ではなく,消費者の権利・利益実現を主眼とした真に消費者を主役とする消費者庁を創設しなくてはならない。

そのため,消費者庁設立にあたっては,下記の事項を実現することを求める。

(1)消費者庁が消費者政策の企画・立案を行うとともに,迅速な被害防止及び被害救済を図ることができるよう,事業者に対する規制権限を直接行使するために必要な立法及び関係法の移管を実現すること。

(2)消費者庁は,全国各地の消費生活相談窓口,消費者,事業者,公益通報者からの被害関連情報を一元的に集約し,調査・分析・公表する権限と原因究明機関を持つものとすること。

(3)消費者庁及び関係省庁が調査把握した情報に基づき,違法収益の機動的な凍結及び剥奪を行い,適正手続保障の観点を保持した被害者に返還・分配する制度を導入すること。

(4)各消費者や消費者団体に対し,被害調査や勧告権限発動を求める申立権を付与するなど,消費者庁の運営において消費者の参加と監視が可能な制度とすること。

また,消費者に最も身近な相談窓口である消費生活センターなど地方自治体の消費生活相談窓口に寄せられる消費者被害の相談や情報は年々増加傾向にあり,その重要性を増している。ところが,人員・予算の関係から相談担当者の員数確保や育成が充分に行われない現実がある。さらに,消費生活センターなど地方自治体の消費生活相談窓口に寄せられる製品安全情報や取引被害情報が,住民に周知されないまま更に被害が拡大される傾向にもある。このような現実のもとにおいては,政府が消費者行政の一元的推進のための消費者庁を設立しても,政府の方針は画餅に帰すること必定である。

そこで,国に対し,地方の消費者行政の体制・人員及び予算を抜本的に拡充強化するための財政措置,消費生活センターの設置・業務・及び苦情のあっせん処理をはじめとする諸権限の法制化,消費者被害情報の集約体制の強化,国と地方のネットワークの構築などの法整備を求める。

また,自治体に対し,下記の事項を実現することを求める。

(1)製品・食品の安全や取引分野における消費者被害の防止など消費者の安全・安心に寄与する担当部署を統括する首長直轄の新たな部局を創設するなど,政府の消費者庁に対応できる充実した新組織を創設し,当該新組織に充分な予算と人員の確保を図ること。

(2)消費生活センターなど自治体の有する製品事故情報・取引被害情報等を新組織が一元的に管理するなどして,当該情報を住民の共有財産として公開すること。

(3)新組織を消費者庁設立までに発足するよう努力し,その施策検討・実現のため,消費者の意見を広く代弁する有識者を含む協議会を早期に設置すること。

2008年(平成20年)10月14日
福島県弁護士会
会長  荒木 貢

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