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割賦販売法の抜本的改正を求める決議

割賦販売法は、1961年(昭和36年)に制定された後、改正を重ねて一定の被害救済の役割を果たしてきた。しかし、次々と現れる悪徳商法に対して、事後的な救済を改正により図ってきたとは言えるが、その被害を十分に防止できたとは言えないのが現実である。近年も、高齢者を狙った不必要な住宅リフォームや布団・呉服などの次々販売による消費者被害事件等が多発し、その消費者被害の多くがクレジット、特に、個品割賦販売を利用する方法が問題となっている。

このようなクレジット契約による消費者被害が多発する背景には、加盟店が割賦販売法の適用を免れるような契約内容で消費者に契約をさせている実態があるにもかかわらず、激しい与信競争下にある信販会社が加盟店の審査・管理をほとんどしておらず、かつ個々の契約に対する審査・調査がほとんどなされていないという現実がある。 この点について、経済産業省が一定の指導や要請をしてきた事実はあるものの、被害は減少していない。もはやクレジット取引による被害は構造的なものとなっており、経済産業省による要請やクレジット会社側の自主規制によって解決できるという段階にはないと言わざるを得ない。

2007年(平成19年)12月10日に、経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会において割賦販売法改正についての報告書が公表されたが、この報告書でもクレジット被害の救済・防止には依然として不十分と言わざるを得ない。次回の改正では、被害救済のみならず被害発生の防止の観点から、割賦販売法については、以下の内容を盛り込んだ抜本的改正を行う必要がある。

そこで当会は、国に対し、現在検討されている割賦販売法の改正に関し、以下の事項を含む抜本的改正を求める。

(1)割賦払い要件と政令指定商品・指定役務制を廃止すること

(2)割賦販売業者及びクレジット会社に対して、個人信用情報機関の利用義務を法律上明記し、与信調査記録の作成・保存・調査義務を定めて、支払能力の調査を明確に義務づけ、年収の3分の1など一定の基準を超過する過剰与信を禁止し、違反した場合には、行政処分の対象とし、かつ請求権制限の民事効果を定めること(過剰与信規制の具体化)

(3)クレジット会社の加盟店に対する不適正与信防止義務を法律上に明記し、これを怠った場合につき行政処分の対象とする規制及び請求権の制限や損害賠償義務といった民事的効果を定める規制を設けること(不適正与信防止義務(加盟店管理義務))

(4)抗弁対抗規定の除外規定を廃止し、その効果を未払金の支払拒絶のみならず、既払金返還義務まで拡大しクレジット会社と販売業者の無過失共同責任を認めること

(5)個品割賦購入あっせんを行うクレジット会社の登録制度を設け、クーリング・オフ制度を導入すること

以上、決議する。

2008年(平成20年)2月23日
福島県弁護士会

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