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長期的観点に立った放射性物質による汚染からの環境回復と地域復興の責任を果たすことを求める決・・・

2011年(平成23年)3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)事故は,環境中に大量の放射性物質を放出した。

環境中に放出された放射性核種は多種多様であるが,これらの有害物質は,完全に環境中から消失するまでには長い年月を要することになる。福島第一原発事故は,深刻かつ長期にわたる有害物質による汚染を引き起こしたものであり,近年での最大級の公害と言っても過言ではない。

このような公害に対して,現在は除染による環境回復措置が取られているが,その除染の効果が限定的であることから,福島第一原発の立地地域である双葉郡について,除染を断念し,その予算を被害者の生活再建に振り分けるべきとの論調もある。しかし,被害者の生活再建は当然のこととして,公害による環境汚染について,汚染を除去し,その環境の回復に最大限の努力を図ることは,汚染者がまず第一に負担すべき基本的な義務である。

福島第一原発事故を惹起し,広範な環境汚染をもたらしたのは,原子力事業者である東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)と,これまで原発建設を推進し十分な安全規制を怠ってきた国であることは明らかであり,東京電力と国は,まさに汚染者として,環境回復を図るべき法的責任があることは当然である。

現在の被害者や国土と文化,歴史を承継すべき将来の世代を慮れば,環境回復にかかるコストや負担を理由として安易に汚染地域の環境回復を放棄することは,決して許されてはならない。

よって,当会は,最大の被害地である福島県の弁護士会として,国が単に目先の経済性を優先し,福島第一原発の立地地域である双葉郡をはじめとする汚染地域の環境回復を放棄することの無きよう求めると共に,当該地域の将来を担う世代が,しかるべき時期に,再び,地域の歴史を紡ぎ続けることが出来るよう,国に対し,以下の5点を求める。

1. 避難指示解除準備区域,居住制限区域はもちろん,帰還困難区域においても(以下,3つの区域をあわせて「避難等指示区域」という),引き続き,適切な除染を含めた環境回復措置を継続すること。

2. 放射性廃棄物の中間貯蔵施設について,設置予定自治体,周辺自治体及びそれらの住民が検討する前提として,少なくとも,設置から30年未満での確実な撤去を担保するため,中間貯蔵施設の期間満了後の完全なる撤去についていかなる例外をも認めず,撤去後の施設用地について完全なる原状回復を行うことを内容とする特別の立法措置を講ずること。

3. 放射性物質の中間貯蔵施設用地については,安易な国有化によることなく,事業用定期借地契約や再売買予約契約の活用,特別の買戻制度の創設等,地権者の多様な意思の反映を可能とするために,地権者に対し,多様な選択肢を提示すると共に,法改正や特別措置法の制定等必要な措置を講ずること。

4. 避難等指示区域に帰還を希望する住民のため,当該地域内における医療や教育,生活物資の流通等,生活の拠点を整備し,これを維持し続けるための施策を早急に策定し,その実施時期を明確にすべきこと。

5. 長期的観点に立ち,将来の世代に汚染されたままの国土を承継させることなく,汚染物質を除去する責任を果たすために,より効果的な放射性物質除去法等,放射性物質による汚染からの環境回復を実現するため,民間の知見を広く活用する等して,具体的手段の研究に速やかに着手すること。
以上のとおり決議する。

以上

2014年(平成26年)2月22日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

提案理由 

第1 避難等指示区域の除染を含めた環境回復措置の継続

1 現在,費用対効果の観点から,政府が掲げる,年間1ミリシーベルトという除染の長期               目標を見直すとともに,帰還可能な地域の除染を優先すべきであるという意見が与党内で広がり始めている(2013年(平成25年)12月13日 河北新報「焦点/福島第1周辺除染目標 揺れる「1ミリ」(上)安全基準化,帰還に影」)。また,2013年(平成25年)11月8日に公表された,自民・公明両党による提言『原子力事故災害からの復興加速化に向けて~全ては被災者と被災地の再生のために~』では,年間1ミリシーベルトという除染の目標を事実上,見直すことが示唆されている。さらに,同提言においては,「除染加速のための計画見直し」と題して,「帰還可能な区域の除染の優先的実施」が指摘されている。
このように,政府は,除染と住民の帰還を結びつけ,帰還可能な地域の除染を優先し,当面帰還困難な地域についての除染を放棄する方向に舵を切ろうとしているかのように見える。

2 このような方針転換は,一見,「予算の効率的配分」とか,「除染よりも,被害者への補償や地域インフラ整備に予算を振り向けるべきである。」との論調によって,福島県民以外の国民には受け入れやすい政策変更となろう。しかし,福島県民の声を代弁する立場にある福島県弁護士会としては,このような政府の政策転換,安易な環境回復の諦めに対し,断固として反対の意思を表明しなければならない。その理由は以下のとおりである。
⑴ まず,そもそも,今回の福島第一原発事故は,日本の有史以来,最大級とも言える環境汚染であり,公害である。公害による環境汚染について,汚染を除去し,その環境の回復に最大限の努力を図ることは,原子力政策を推進し,かかる汚染を引き起こした国及び東京電力が第一に負担すべき基本的な義務のはずである。原状回復義務を汚染者が負担するという汚染者負担の原則について,福島県民の意思を確認することもなく,国や東京電力が安易に放棄して良いはずはないのである。
⑵ チェルノブイリ原発事故後,ウクライナ政府は,予算の問題等から半径30キロ圏内の地域の除染を諦め,そのままの状態で放置してしまっている。その結果,たとえば,プリピャチ市などは,事故後27年経過した現在,朽ち果て,廃墟となった建物が点在し,建物が森に飲み込まれつつある状態となっている。
しかし,大熊町,双葉町,浪江町,富岡町等避難等指示区域は,プリピャチ市のように,原発関係の労働者のために新たに作られた都市ではなく,有史以前から現代にいたるまで,何世代にも渡って住民がそれぞれの文化と歴史を築いてきた歴史と伝統のある地域である。このような歴史と文化のある場所において,除染を諦め,安易に廃墟都市への道を選択することは許されてならない。そのような政策を選択することは,次世代に対し汚染された国土を押しつける結果にも繋がりかねない。
また,長期帰還困難区域を含めて除染を行い,環境を回復することは,その周辺地域に住む者に安心感を与えるとともに,今後帰還しようとする者に対し帰還への動機を与えることとなる。すなわち,継続的な環境回復のための努力は,結果的に,長期帰還困難区域の周辺地域においても国が目標とする住民の早期帰還に繋がり,避難等指示区域における元の生活を回復することへの礎となるものである。
⑶ さらに,我が国において,人々が居住し,有効に活用できる国土面積は著しく限られているのであり,日本地図に広大な空白を残したまま将来の世代に汚染された国土を引き渡すようなことがあってはならない。
⑷ 前述したように,一部では除染等の環境回復措置と避難者や早期帰還者への生活支援策をあたかも選択的な問題であるかのように提示し,除染等の環境回復措置よりも避難者や早期帰還者への生活支援を優先すべきという論調もある。
しかし,そもそも,国が,いかなる環境回復措置を講じるべきであるかという点と,避難者や早期帰還者に対していかなる生活支援策を講じるべきであるかという点は,全く別次元の問題である。
仮に,直ちには住民の帰還が見込めない地域であっても,この地域を汚染した者に,汚染者負担の原則から汚染物質を取り除く義務があることは当然のことである。
他方で,避難住民が帰還するか避難を継続するか,どのような時期に帰還するかというような問題は,まさに,居住移転の自由(憲法22条),自己決定権(憲法13条)に基づき各個人が個別に判断すべき問題である。国は,その個々の判断を尊重して必要な支援策を講じるべきであり,環境回復措置と避難住民への支援策は,いわば車の両輪として共に実施されなければならないものである。
にもかかわらず,これらを二者択一であるかのように装うことは決して許されてはならない。

3 今回の福島第一原発事故は,政府が国策として原子力発電事業を推進し続け,かつ,東京電力等の原子力事業者に対し適切に規制権限を行使しなかった結果,広範かつ深刻な,長期間継続する環境破壊を生ぜしめたものである。
それにもかかわらず,事故から3年も経たないうちに,短絡的に,福島県民の意見も尊重することなく,その環境回復の責任を放棄しようとするということは,福島県民に対するあまりに無責任な態度であると言わざるを得ない。
そもそも国家とは,国土の安全を保ち,国民が安心して生活できる環境を整えることを主たる役割の一つとするものである。その国が,福島県内外の広い範囲に大量の放射性物質が放出され,住民が将来の健康影響を懸念し続けながらの生活を余儀なくされ,さらには他地域からの風評に悩まされている現状において,環境回復を放棄し,問題を先送りにし,不安に怯える住民に忍耐を強いることで表面を取り繕うなど本末転倒である。

4 さらに,環境回復措置は,自主避難地域と呼ばれる避難等指示区域以外の地域においても重要な意義を有するものである。生活環境の近くに,汚染された地域がそのまま放置されることは,自主避難地域と呼ばれる地域の地域力の低下を招くばかりか,平穏に生活する権利(憲法13条)を侵害し続けるものである。このような汚染地域を可能な限り小さくし,線量の低減化に努めることも,また国の責務である。経済的効率性という言葉によって,除染を含めた環境回復が放棄され,我々福島県民が,汚染地域の傍でいつまでも暮らし続けることを事実上容認するような施策を決して許してはならない。

第2 中間貯蔵施設の設置条件と期間満了後の完全なる撤去

1 2013年(平成25年)12月12日現在,政府は中間貯蔵施設の建設のため東京電力福島第一原発周辺約15平方キロメートルの国有化方針を固め,土地買収費用の一部として来年度当初予算に約1千億円を計上したとされている(2013年(平成25年)12月11日 日本経済新聞「中間貯蔵用地を国有化 政府,15年稼働めざす」)。

2 当会としても,かかる中間貯蔵施設の設置が,放射性物質による汚染からの回復に必要不可欠であることは否定するものではない(ただし,中間貯蔵施設の設置については,国が一方的に推し進めるのではなく,設置自治体やその周辺自治体,それらの住民への説明と承認という手続を採るべきであることはいうまでもない。)。
しかし,中間貯蔵施設は,その名称からも明らかなとおり,あくまで地域環境を回復するための暫定的な保管施設である。予め設置期間を明確に定め,その設置期間の経過後は,一切の例外なく,原状回復措置が行われ,放射性物質の最終処分施設への移動が確実に行われなければならない。この担保を欠いたまま,中間貯蔵施設のなし崩し的な設置を黙認することは,この福島県浜通り地域を放射性廃棄物の最終処分地域としてしまい,さらには世界の核廃棄物のごみ集積場としかねない危険性を孕む。現時点での安易な判断は,必ず,将来の世代に禍根を残すことになるのである。

3 このような観点からは,住民が中間貯蔵施設の設置を検討する前提として,将来の世代に禍根を残さないために,少なくとも,以下のような施策が実施されるべきである。
⑴ 中間貯蔵施設の撤去期限及び原状回復措置の法制化
中間貯蔵施設に関し,国は,現時点においては,中間貯蔵施設はあくまで「中間」であり,「放射性廃棄物については中間貯蔵開始から30年以内に県外で最終処分する」などと口頭では述べている。しかし,最終処分施設の設置には多大な困難が待ち構えていることは容易に想定できるものであり,単なる口頭での約束だけに依拠した場合,この約束が将来簡単に反故にされることも十分ありうるところである。
そこで,国は,まずは,中間貯蔵施設について法制化し,その設置期限を一切の例外なく30年未満に限定することを明文化すべきである。
また,設置期限後においては,単に中間貯蔵施設の稼働を終了し,放射性廃棄物を搬出するだけで済むものではない。放射性廃棄物の貯蔵に伴う土壌や地下水の汚染を残存させるようなことは万が一にもあってはならないのである。そのため,中間貯蔵施設の撤去後における汚染の有無の確認,万一汚染が生じていた場合の環境回復措置,施設撤去後の整地や,国有地部分の跡地利用等についても,現時点において明確にしておくことが必要である。
その見地からすれば,中間貯蔵施設関連法規の制定にあたっては,中間貯蔵施設撤去後の原状回復方法についても,地域住民が十分納得できるだけの明確な条件を明文化するべきである。
⑵ 中間貯蔵施設用地の地権者の意思を尊重するための選択肢の確保
前述のように,国は,土地の国有化により中間貯蔵施設用地を確保する方針を示している。
しかし,中間貯蔵施設の候補地は,住民がそれぞれの文化と歴史を築いてきた歴史と伝統のある地域である。地域住民が先祖代々引き継いできた土地について,放射能汚染について責任を負う国が,一方的に国有化する方針を示したことについては抵抗を感じざるを得ない。
また,中間貯蔵施設建設用地がすべて国有化された場合には,事後的に事情の変更等を理由として中間貯蔵施設の設置期限が延長されるということも考えうる。
国は,中間貯蔵施設建設用地について安易な国有化の方針を撤回し,中間貯蔵施設建設予定地の地権者の意思を尊重するために,利用可能な法制度を活用し,また,必要に応じて法改正や特別措置法の制定を行う等して,同用地の確保に関して可能な限り多様な選択肢を提示すべきである。
考えうる選択肢としては,30年未満の事業用定期借地契約(借地借家法23条2項)の活用や,再売買の予約(民法556条)や,買戻制度(民法597条以下)の活用等がありうる。
中間貯蔵施設の設置期限である30年未満の事業用定期借地契約であれば,賃借人となる国は,中間貯蔵施設期間満了時に,施設を取り壊し,更地にて土地所有者に土地を返還する義務を負う。この場合には,契約の更新もなく,地権者の意思に反する期間の延長も起こりえず,建物買取請求権を行使される危険性もない。先祖伝来の土地を直ちに手放すことに抵抗のある地権者にとっては意味のある選択肢となる。
また,再売買の予約や買戻し制度によれば,現時点で土地の売却等を希望しつつも,将来の状況によっては,再度,故郷の土地を取り戻せる余地を残したい地権者にとっては有効な選択肢となる。予約完結権の消滅時効や,買戻権の行使条件や行使期限等について,現行法上,種々の制約があり,中間貯蔵施設の設置期限を30年とすることとの関係で調整が必要ではある。しかし,適宜,法改正や特別措置法の制定等により利用可能な制度を構築することは決して不可能ではない。
前述したように,福島第一原発事故による放射性物質による汚染は,有史以来最大級の公害問題であり,地域住民の心に多大な傷を残した。中間貯蔵施設建設予定地の地権者も,同原発事故に伴う避難生活を続けており,避難に伴う精神的苦痛を受け続けている。このような地権者に対して,さらに,自らの土地につき,その意思に反して一方的に公用収用される苦痛を押し付けることがあってはならない。
用地の提供に応じる地権者は,中間貯蔵施設の必要性を理解するからこそ,先祖伝来の大切な土地を差し出して,国による建設用地の確保に協力しようとするものである。国は,地権者に対して,その篤志に全力で答えるべきであり,国の英知を結集して,地権者の意思を尊重するための多様な選択肢を準備しなければならない。

第3 自己決定に基づく帰還のための地域の基盤づくりを行うこと

1 当会が,2013年(平成25年)7月22日付「福島第一原子力発電所事故による避難住民の円滑な帰還へ向けた喫緊の支援に関する提言」において既に指摘したとおり,福島第一原発事故による避難からの帰還をめざしている地域において,現在,道路や鉄道など交通網の遮断や周辺地域の避難継続による流通ルートの喪失,風評被害等による地域産業の不振,医療や教育拠点の喪失と人口の流出等が顕在化している。

2 今後,順次,避難指示解除が進められていくなかで,このような状況の放置が続けば,地域に帰還することが事実上困難であるにもかかわらず,機械的に賠償のみを打ち切られて生活再建が困難となる住民が続出することは想像に難くない。そして,このような状況が生じる結果,地域復興を担うべき住民が流出し,これまで脈々と受け継がれてきたそれら地域の文化や伝統を将来の世代が承継することが困難となる。さらには,地域と地域のつながりが失われることによって,相当期間経過後,現時点では短期間での除染が困難な地域への居住を検討しうる時期に至ったとしても,将来の世代の帰還を事実上困難たらしめ,その動機付けを失わせることになりかねない。

3 そこで,今後10年ないし20年単位の喫緊の課題としては,住民自身の自己決定にもとづく帰還が予定され,あるいは現に帰還が進められている地域を中心に,社会的インフラ(病院等の医療,介護施設等)や教育機関を整備し,交通網を整備するとともに,生活支援として,居住支援,就労支援,教育支援,介護支援,医療支援,心療支援,地域コミュニティ維持・創設支援等を実施することにより,当該地域における地域社会の復興と,地域同士のつながりを復旧するための基盤づくりを図ることが求められる。

4 なお,地域の復興と風評の払拭という観点からは,当会が,2011年(平成23年)8月20日付「原子力発電所を廃止し,自然エネルギーへの転換を求める決議」等で繰り返し求めてきたとおり,今回大事故を起こした福島第一原発はもちろんのこと,東京電力福島第二原子力発電所(以下「福島第二原発」という。)についても,早急に廃炉がなされることが不可欠である。なぜなら,福島第二原発は,福島第一原発と同じく東京電力が運営し,福島第一原発と同じく東日本大震災による津波の直撃を受けたものであって,その安全性には根本的な疑問があるところ,このような福島第二原発が福島県内に存在する限り,地域の住民の安全な生活が確保されることも,不安が解消されることもなく,また地域に対する風評が払拭されることもあり得ないからである。

第4 長期的視点に立った放射性廃棄物等の処理技術の研究の必要性

1 これまで述べたとおり,今回の事故が過去に前例のないものであること,放射性物質が極めて広範囲にわたって放出され,その影響は数十年以上の長期間にわたると予想されること,放射性物質の除去技術が確立されていないことに鑑みると,放射性物質の除去と環境回復が短期間で完了するとは考え難い。
したがって,完全な環境回復を実現するためには,当面の除染作業と並行して,環境中に放出された放射性物質がどのように減衰し,環境中でどのような挙動を取るかを観測し,現行の除染の効果を検証すると共に,民間の知見を広く取り入れ,現行の除染方法に止まらない完全な環境回復に向けた効果的な方法を研究することが不可欠である。
同時に,中間貯蔵施設の確実な撤去と,安全な最終処分への移行を可能とするため,除染によって生じた廃棄物等の処理技術を研究し,確立しなければならない。

2 そして,放射性物質から放出される放射線の半減期の中には数十年以上に及ぶものが多数含まれることから,その効果的な環境回復には50年,100年単位での観測・研究が必要不可欠である。

3 このような見地から,国は,長期的観点に立ち,将来の世代に汚染されたままの国土を承継させることなく,汚染物質を除去する責任を果たすために,より効果的な放射性物質除去法等,放射性物質による汚染からの環境回復を実現するための具体的手段の研究に速やかに着手することが必要である。

第5 まとめ

1 これまで述べてきたとおり,福島県の環境回復と復興は,東京電力のみならず国の責務であり,そのためには国が主導する長期的視野に立った復興計画の策定と,それにしたがった復興を成し遂げることが不可欠である。

2 かつて福島県では,1888年(明治21年)の磐梯山噴火により多くの集落,人命,山林が喪われるという大災害に見舞われた。しかし,岩石累々たる荒廃した山野で植林事業に勤しみ,地形の変化により途絶した交通往来を切り拓く等,開発事業に献身的に取り組んだ先人達の努力により,今日,被災地は豊かな植生と生活の復興を成し遂げている。

3 先人の努力に倣い,今般の原発事故についても,短絡的に環境回復を諦めることなく,未来を見通した復興を成し遂げることは,将来の世代に対する最低限の責務ともいえる。

よって,国に対し,長期的観点に立った環境回復措置と地域復興政策を講ずるよう求め,本決議案を提案するものである。

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