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東電福島第一原発からの汚染水流出に抗議し、原発事故収束について国が直接対応することを求める会長声明

東京電力福島第一原子力発電所からの汚染水流出に抗議し,
原発事故収束について国が直接対応することを求める会長声明

  東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は,本年222日,東京電力福島第一原子力発電所(以下「原発」という。)において,放射性物質を高濃度で含む汚染水が原発構内から海洋に流出していたことを公表した。また,その4日後の同月24日には,原発2号機原子炉建屋の屋上にたまった放射性物質を高濃度で含む雨水が,構内の排水路を経由して原発構内から海洋に流出していたことを公表した。さらには,この汚染水の流出について,東京電力が昨年4月の時点で事実関係を把握していながら,これまで公表していなかったことが明らかとなった。
 これらは,安全確保の面からも重大な問題であり,また,いわゆる「風評被害」の継続にもつながるものであって,極めて重大な問題である。それだけでなく,放射性物質の放出が抑制されていないことは,原発事故から4年の長きを経過した現在もなお,原発事故がいまだ「収束」には至っていないことを示すものである。しかも,これを1年近くにわたって公表していなかったことから見れば,東京電力が,深刻な隠蔽体質のもと,原発事故の収束に向けた真摯な努力を放棄し,もはや事故収束への対応能力を喪失していると指摘せざるを得ない。

 当会は,2013年(平成25年)86日付「東京電力福島第一原子力発電所事故の収束作業及び放射性物質漏洩対策について国が直接関与し完全な対策を講ずることを求める会長声明」において,東京電力が深刻な隠蔽体質を有しており,原発事故収束のための対応能力を失っていることや,原発事故について国に責任があることを指摘し,国に対して「本件原発事故の収束及び廃炉に向けた作業,放射性物質の敷地外への放出を防止する作業等について,東京電力任せにせず,国の責任において具体的な作業計画を決定し,実施すること」を求めてきたが,いまだに東京電力が,汚染物質の漏出やその隠蔽を続けている以上,上記会長声明が求めているように,国が具体的関与を行うべき必要性はますます明らかであると言える。

 よって,当会は,東京電力に対し,今回の事態について断固抗議するとともに,
1 東京電力に対し,徹底的な原因究明及び再発防止策をとること,国民に対して迅速かつ十分な情報提供を行うこと
 2 国に対し,本件原発事故の収束及び廃炉に向けた作業,放射性物質の敷地外への放出を防止する作業等について,東京電力任せにせず,国の責任において具体的な作業計画を決定し,実施すること
 を,あらためて強く求めるものである。

2015(平成27年)39
福島県弁護士会
会長  笠 間 善 裕

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