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裁判所関連予算の大幅増額を求める会長声明

裁判所関連予算の大幅増額を求める会長声明

1 わが国の裁判所関連予算は,平成19年以降3000億円前後で,国家予算の僅か0.32%前後に過ぎない。この事態は,平成13年に発表された司法制度改革審議会意見書において,裁判所等の人的物的体制の充実を図るべく,「司法制度改革に関する施策を実施するために必要な財政上の措置について、特段の配慮をなされるよう求める」としたことと全く矛盾するものである。
2 裁判所関連予算が低い割合に抑えられている背景には,裁判所の係属事件数が年々減少していることが考えられる。しかし,元々裁判官の勤務の過酷さは異常である。平成25年における全裁判所の新受件数が361万件なのに対し,同年度の裁判官数が3718人である1ため,単純計算で裁判官1名あたり年間970件の件数を抱えていることになる。裁判官の中には地裁所長や高裁長官,司法行政事務などいわゆる「裁判をしない裁判官」も存在することを考えれば,裁判官1名あたり優に1000件を超える事件を処理する必要があることになる。事件が減少したとしても,根本的な解決には至っていない。 ※1 平成25年度司法統計
また,国家予算が逼迫している折,裁判所関連予算の増額に消極的な考えもある。しかしながら,裁判所関連予算は国民の裁判を受ける権利の財政的裏付けなのであり,予算が少ないことが裁判を受ける権利の後退を招く事態は本末転倒である。そもそも,元々裁判所関連予算が低額であることから司法の使い勝手が悪く,その打開策として司法制度改革審議会意見が発表された経緯があり,国家財政の状態にかかわらず増額が必要である。上記の如く僅か0.32%を占めるに過ぎない裁判所関連予算につき,他の財政状況を見直して例えば0.5%とすることも十分可能と考えられるのである。
3 福島県は全県の中では岩手県に次いで広大な県土を有し,福島本庁のほか支部が5つある。しかるに,民事合議事件は白河・相馬では行われないため,原発損害賠償請求事件について,合議対象とされた事件につき福島本庁に移送された案件もある。更には労働審判は福島本庁でしか行われず,填補も入れれば裁判官が同数2の郡山支部では行われていない。
裁判員裁判に至っては,福島県の中心部にある郡山支部が,郡山に加えいわき・会津若松・白河の各支部を土地管轄とする裁判員裁判対象事件を一手に引き受けている。殊に会津・いわき各支部は刑事事件で合議体が組めるにもかかわらず裁判員裁判が実施されず,裁判員対象者も遠方からの出席を余儀なくされている。  ※2 裁判所hp
家事事件は,民事・行政・刑事・少年の事件が減少を続ける中,唯一増加の一途を辿っているが,家事事件に特化した裁判官が大規模庁にとどまっているばかりか,書記官・調査官の慢性的不足は言うに及ばず,申立人と相手方の待合室が近い,待合室自体が狭くプライバシーを確保できないなどの実情もある。
これらの事態は市民の司法アクセスや市民の刑事裁判への参加という制度目的からかけ離れ,ひいては裁判を受ける権利を阻害するものであり,この背景には,充分な人的物的対応がなされていない実情があることに他ならない。
4 現在,多数の弁護士会から裁判所関連予算の増額を求める会長声明が出されているほか,日本弁護士連合会も昨年9月20日に司法シンポジウムを開催し,「市民に本当に身近で利用しやすい司法とは~民事裁判と家庭裁判所の現場から~」をテーマに議論を交わし,その中で裁判官の増員や休日・夜間対応をはじめとした人的物的対応を提言している。
かかる動きは司法の一端を担う当事者としての危機感の現れに他ならず,速やかに裏付けとなる予算の増額が図られるべきである。
5 最高裁判所は平成27年予算の概算要求として3177億円余りを算出した。これは前年度予算から65億円ほどの増額であるが,わずか2.1%,うち人件費に至っては0.7%の増額要求に留まっている。また要求の中でも民事・刑事関係費は減少しているなど,司法の充実を図る上では極めて不十分なものである。 このことは,国民の裁判を受ける権利について,当の裁判所自体がその権利を軽視していると評されてもやむを得ない。
6 以上のような状況に鑑み,最高裁判所はすでに提出した概算要求を見直して大幅な増額を要求すべきであり,それを受けて財務省・政府は大幅増額を認めるべきである。

2015年(平成27年)1月 30日
福島県弁護士会
会長 笠 間 善 裕

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