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生活保護受給の抑制につながる「生活保護法の一部を改正する法律案」の 廃案を求める会長声明

政府は,本年10月15日,「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「改正案」という。)を閣議決定し,同月17日,国会に提出した。

しかし,改正案は,生活保護の申請を躊躇あるいは委縮させ,基本的人権である生存権の保障(憲法25条)を空洞化させる危険がある。

改正案は,生活保護申請の方式について,「保護の開始を申請する者は,厚生労働省令で定めるところにより,…事項を記載した申請書を…提出しなければならない」「特別の事情があるときは,この限りでない」としている(改正案24条1項)。生活保護が,国民の基本的人権である生存権保障のための重要な制度であることを考えれば,生活に困窮し生活保護を利用しようとする者が,生活保護申請を躊躇あるいは委縮することがないよう,書面であれ口頭であれ,保護の実施機関に対して保護の申請をする旨の意思表示があれば足り,特別な書面の提出を求めるべきではない。この点,第183回通常国会における審議の際の政府答弁によれば,この改正は,従前の運用を変更するものではなく,申請書や添付書類の提出は生活保護申請の要件ではないとされている。しかし,従前の運用を変更するものではないとすれば,そもそも,こうした法文を新設する必要はないはずであり,このような「改正」は,申請に書類の提出を求めたり,そもそも申請書を渡さないなど,従前からの違法な「水際作戦」の追認・合法化につながる危険があることを否定できない。

また,改正案は,保護の実施機関に対し,保護開始の決定をしようとするときは,あらかじめ,扶養義務者に対して,厚生労働省令で定める事項を通知することを求めるとともに(改正案24条8項),扶養義務者の扶養能力(資産や収入など)について,保護の実施機関の調査権限を強化する規定を有する(改正案28条・同29条等)。しかし,現行法の下でも,保護開始申請を行おうとする要保護者が,扶養義務者への通知により生じる親族間でのあつれきなどを心配して保護開始申請を断念するケースは決して少なくない。このように,保護開始に際して行われる扶養義務者への通知や扶養義務に関する調査が強化されれば,生活に困窮し保護を受けたいと考える要保護者が,申請をためらうという萎縮効果を一層強めることになる。

よって,当会は,政府及び国会に対し,改正案を速やかに廃案にすることを強く求めるものである。

以上

2013年(平成25年)11月6日
福島県弁護士会
会長 小池 達哉

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