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憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することに反対する決議

憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することに反対する決議

2012年12月の第46回衆議院議員総選挙で自由民主党が政権与党となったことを契機に,集団的自衛権の行使を容認しようという政府の動きが急速に進んでいる。最近では,2014年4月9日,菅義偉官房長官は,「政府方針に基づいて,与党の中でさまざまな議論を行ない,与党内の調整,理解が得られた段階で閣議決定したい」と述べた。さらに,同年5月15日,安倍晋三首相は「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から集団的自衛権行使容認に向けた報告書の提出を受け,直ちに同日国家安全保障会議4大臣会合を開き,憲法解釈変更についての原案となる「基本的方向性」を発表した。このように,集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更が閣議決定される可能性が現実味を帯びてきている。
日本弁護士連合会は,2005年11月の第48回人権擁護大会における「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」,2008年10月の第51回人権擁護大会における「平和的生存権および日本国憲法9条の今日的意義を確認する宣言」において,集団的自衛権の行使は憲法に違反するものであり,憲法の基本原理である恒久平和主義を後退させ,すべての基本的人権の基盤となる平和的生存権を損なうおそれがあることを表明してきた。
また,福島県弁護士会においても,2007年2月に「立憲主義と日本国憲法の基本原理の堅持を求める宣言」,2013年9月に「集団的自衛権行使の容認及び国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明」を採択し,集団的自衛権の行使容認は,日本を再び戦争の惨禍に導く危険をはらみ,立憲主義や憲法9条に反すること等を表明してきた。
集団的自衛権は,他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行うものであり,日本が集団的自衛権を行使するということは,日本が直接に武力攻撃を受けていなくても、他の国家と共同で武力行使を行うことを意味する。政府自身も,これまで長年にわたって「憲法第9条の下において許容される自衛権の行使は,我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである解しており,集団的自衛権を行使することは,その範囲を超えるものであって,憲法上許されない」としてきた。
このように,政府自身が長年にわたって確立してきたにもかかわらず,内閣の閣議決定だけで国民の将来に重大かつ死活的影響を与える憲法解釈の変更がなされようとしていることは極めて異常な事態と言わざるを得ない。
安倍内閣は,これまで,他の条項に先立って,憲法改正要件を定める憲法96条を改正し,憲法改正案の発議要件を緩和することを主唱してきた。その先の目的の一つに,集団的自衛権の行使を認める憲法改正があったことは疑いがない。しかしこの憲法96条先行改正論は,立憲主義の観点から,現行の憲法における厳格な改正手続を回避するものであるとして,日本弁護士連合会が2013年3月14日に「憲法第96条の発議要件緩和に反対する意見書」を発表し,また福島県弁護士会が2014年2月22日に「憲法96条1項の憲法改正発議要件の『改正』に反対する決議」を行ったのをはじめ,法曹界・憲法学界のみならず,広く一般国民からも批判,疑義が呈せられている。今般の安倍内閣の動きは,憲法改正手続それ自体を回避して,政府自身によって,日本国憲法の基本原理の一つである恒久平和主義にかかわる部分の実質的な内容を変更しようとするものであって,憲法をもって国家権力の恣意的行使を制限し国民の自由を保障するという近代立憲主義の根本的な理念を無視ないし軽視する同内閣の姿勢が深刻さを増していることを如実に示しており,到底容認することはできない。
福島県弁護士会は,憲法の定める恒久平和主義・平和的生存権の今日的意義を確認するとともに,憲法の最高法規性や国務大臣や国会議員の憲法尊重擁護義務,そして,立憲主義に反する政府による集団的自衛権の行使に関する確立した解釈の変更に強く反対する。

2014年(平成26年)5月31日
福島県弁護士会

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