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商品先物取引の不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明

商品先物取引の不招請勧誘禁止規制撤廃に反対する会長声明

2013年(平成25年)6月19日、内閣府副大臣は、衆議院経済産業委員会において、証券・金融商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁を行った。これは、総合取引所において商品先物取引業者に対しても監督権限を有する金融庁が、総合取引所に関する法規制について、不招請勧誘禁止規制を撤廃する方向での検討を進めていることを示すものである。そして、金融庁の総合取引所に関する改正法と、法改正に伴う政令は、行為規制を除いて、すでに本年4月1日から施行されているが、この行為規制に不招請勧誘禁止規制が入るかは予断を許さない状況である。
しかし、かかる不招請勧誘禁止規制を撤廃する動きは、以下のとおり、商品先物取引の被害実態や不招請勧誘禁止規制導入の経緯を軽視するものであり、到底容認することはできない。
そもそも、商品先物取引は、その仕組みが複雑で一般消費者には理解し難く、且つ、相場変動要因も多種多様であり、一般消費者がその仕組みを正確に理解した上で変動が激しい相場を的確に予測し取引を行なうことは極めて困難な取引である。一方で、商品先物取引業者の収入源である手数料は、委託者がより大量かつ多数の取引をするほど多く得られる。そこで、悪質な業者が、不当な勧誘を行って投機経験の乏しい一般消費者を取引に引き込み、担当外務員に頼らざるを得ない状況を利用し、より多くの資金で大量・多数の取引をするように誘導し、一般消費者にその属性に照らして過大なリスクと手数料の負担を負わせることが頻発した。その結果、消費者が生活資金を一挙に失って人間不信、家庭崩壊、精神疾患、自殺などの悲惨な状況に追いやられた事案などが後を絶たなかった。
商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制は、これら悪質な商品先物取引業者が、不意打ち的な勧誘や執拗な勧誘により、顧客の本来の意図に反した取引に引き込み、多くの被害を生んできたという歴史的事実を踏まえ、消費者・被害者関係団体等の長年にわたる強い要望が積み重ねられた結果、2011年(平成23年)1月施行の商品先物取引法により、ようやく実現したものである。
そして、商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制の導入以降、商品先物取引に関する相談や被害件数は著しく減少しており、不招請勧誘禁止が被害を防止する有効な方策であることは明らかである。
ところが、政府は、商品先物取引の出来高が大幅に減少していることを懸念し、その市場活性化対策として、上記のように、商品先物取引に関する不招請勧誘禁止規制を撤廃しようとしている。しかし、2012(平成24)年8月に公表された「産業構造審議会商品先物取引分科会報告書」においても、「同規制の施行後1年半ほどしか経過しておらず、引き続き相談被害の実態を見守りつつ、できる限り効果分析を試みていくべき」として、規制の維持が確認されたばかりである。また、内閣府消費者委員会は、2013年(平成25年)11月12日付け意見書において、「不招請勧誘禁止規制の存在によって市場の活性化が阻害されるとは言えないことが明らかである」と分析しており、市場活性化対策は不招請勧誘禁止規制を撤廃する理由にはならないというべきである。更に、商品先物取引被害については、今なお適合性原則違反等による業者の違法性を認める判決が出されていることに鑑みると、撤廃論者が唱える「法令及び自主規制」を中心とした消費者・委託者保護方策が有効に機能することを期待することは困難である。
以上の事実に鑑みれば、不招請勧誘禁止規制の導入から僅か3年余でこの規制を撤廃することになれば、知識経験が十分ではない一般消費者が取引に巻き込まれ、またしても、商品先物取引業者による多数の消費者被害を生み出す危険が高いことは明らかである。
したがって、当会は、消費者保護の観点から、総合取引所において取り扱う商品先物取引について不招請勧誘禁止規制を撤廃することに強く反対する。

2014年(平成26年)4月18日
福島県弁護士会
会長  笠 間 善 裕

執行先
内閣総理大臣、金融庁、消費者庁、党員5名以上の主要政党、県内選出国会議員
内閣府消費者委員会

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