福島県弁護士会公式ホームページ

福島県弁護士会

連絡先

トップページ > Topics > 会長声明 等 > 福島県地域別最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

福島県地域別最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明

1 最低賃金については,中央最低賃金審議会が厚生労働省に答申する目安を参考として,各地方最低賃金審議会が地域別最低賃金を審議したうえ答申し,この答申に基づき,各地方労働局長が地域別最低賃金額を決定している。福島県においても,昨年,地域別最低賃金が1時間あたり748円から772円に改訂され,24円の引上げがなされた。本年も,中央最低賃金審議会における最低賃金改定の目安についての答申が7月末に公表され,これを受けて,福島地方最低賃金審議会において答申がなされる見込みである。
2 わが国の最低賃金制度は,賃金の最低額を保障して労働条件の改善を図り,もって,労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法第1条)。
ここで,1か月あたりの労働時間として,厚生労働省の毎月勤労統計調査の結果(平成31年3月分速報値)である164.3時間(産業計一般労働者の総実労働時間の平均)を用い,福島県の現時点での地域別最低賃金額である1時間あたり772円をもとに試算すると,地域別最低賃金のもとに1か月稼働した場合,1か月あたりの賃金額は約12万6839円にしかならない。
この賃金額では,労働者及びその家族が十分に生活できるだけの収入水準が確保されているとは言い難い。
仮に,時給1000円であったとしても,年収計算ではワーキングプアと呼ばれる水準である200万円前後にしかならないのである。
3 政府は,2016(平成28)年6月2日に閣議決定された「日本再興戦略2016」の工程表において,最低賃金の全国加重平均が1000円となることをめざすとし,同月18日に閣議決定された「新成長戦略」においては,2020(令和2)年までに「全国最低800円,全国平均1000円」まで最低賃金を引き上げることを目標として明記している。また,2019(令和元)年6月11日に開催された経済財政諮問会議で示された「経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)」原案においても,より早期に最低賃金の全国加重平均が1000円になることをめざすと明記している。
ところが,2018(平成30)年の福島県地域別最低賃金は772円であるから,2020(令和2)年までの2年間で全国平均の目標値(1000円)に達するためには,大幅な引上げが必要であることは明らかである。
また,2018(平成30)年現在の最低賃金額は,全国加重平均で874円であり,2020(令和2)年までに全国加重平均1000円にするという政府目標を達成するためには大幅な引上げが必要である。
地域別最低賃金については,地域の経済情勢などに応じて,全国をAからDのランクに分類し,ランクごとに引上げ額を定めるのが通例となっているが,福島県はこの間Dランクとされることが続いている結果,他の都道府県との地域格差が広がっている。例えば,昨年の中央最低賃金審議会答申においてAランクとされている東京,神奈川,愛知,大阪等の大都市圏と福島県の地域別最低賃金を比較すると,100円~200円以上の格差が生じている。最も高い東京都では985円であるのに対し,福島県は772円であり,213円もの開きがある。このような著しい地域格差は,経済情勢や生活費等を考慮しても必ずしも正当化できるものではなく,格差是正のためにも,低ランクである福島県については,特に地域別最低賃金の大幅な引上げが必要である。
4 最低賃金の引上げは,単に,労働者の生活水準の向上をもたらすだけでなく,労働者の離職率を下げ,企業の新規採用・訓練のコストを下げることにもつながり,企業の生産性向上にも資する。さらに,賃金が生活等に消費されることにより,地域での消費を押し上げ,経済成長の刺激となるという経済的効果も指摘されるところであって,企業や地域経済にとってもメリットが存在する。
その反面で,最低賃金の引上げは,経営資源に乏しい中小企業の経営に影響を与えることが予想されるため,政府は,賃金引上げに困難を伴う中小企業に対する補助金制度や公租公課の減免措置,中小企業とその取引先企業との公正な取引の確保措置などを適切に組み合わせ,最低賃金の引上げを円滑に進めるための施策を講じていくことが求められる。
5 本会は,2018(平成30)年6月13日付「福島県地域別最低賃金の大幅な引上げを求める会長声明」,2017(平成29)年8月1日付同会長声明,2016(平成28)年9月13日付同会長声明等を公表し,これまでも最低賃金の大幅引上げを求めてきたところであるが,上記のような状況を踏まえ,中央最低賃金審議会はもとより,福島県地方最低賃金審議会においても,福島県地域別最低賃金の大幅な引上げ(少なくとも50円以上)を早急に図り,労働者の健康で文化的な生活を確保するとともに,地域経済の健全な発展を促すべきである。

2019(令和元)年6月10日
福島県弁護士会
会 長  鈴 木 康 元

PDFファイルの閲覧について

PDFファイルをご覧になるためには、Adobe Readerというソフトが必要です。Adobe Readerは無料で配布されております。最新版をダウンロードしてご利用下さい。

Adobe Reader

このページの先頭へ